離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 別れるとわかっていてもあがいたから、今こうしてもう一度夫婦になれている。

「うん」

 立ち上がった智秋が私の手を引いて席を離れた。

 これ以上話している余裕はないとでもいうように、早足で。



「……ん、ふ」

 部屋に戻るなり、靴を脱ぐ間さえ惜しんで唇を重ねる。

 今まで智秋を長身だとは思っても大きい人だとは思わなかったのに、貪るように唇を奪われて彼の男の部分を強く意識した。

 入口のドアに背を押しつけられ、呼吸も許してくれない口づけに溺れる。

 智秋の舌が私のそれに絡んだ。激しさに逃げようとすると、それを許すまいと熱を擦りつけられて求められる。

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