離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 自分が自分でなくなるような感覚に意識をさらわれそうで怖くなるも、そんな感情でさえ智秋は奪っていく。

 やがて後頭部を押さえていた手が離れ、代わりに服の中へ侵入した。

 直接肌に触れられるとお腹の奥に落ち着かない気持ちが集まって逃げ出したくなる。

 こんなふうに触れてくる人は智秋しかいない。 そして私も彼以外には許したくなかった。

「ベッド、行こ」

 気を抜けばすぐに溶けてなくなりそうな理性を掻き寄せて言う。

 智秋は私の背に回した手で下着のホックを外すと、再びついばむように口づけた。

「それ、なるべく言わないでくれ。興奮しすぎておかしくなりそうだ」

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