離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 疼く場所に智秋の昂ぶりを感じた。

 思えば私は人生でまだたった一度しか結ばれた経験がない。

 ようやく迎える二度目も初めてを捧げた大好きな人と一緒だなんて、こんな幸せな話があるだろうか。

「好き」

 バーでは恥ずかしくて言えなかった想いを、今は素直に告げる。

 智秋の背に腕を回し、足も絡めて密着を促しながら再度彼の耳に顔を寄せた。

「あなたが好き。好き……」

「……優しくできるかな」

 強い圧迫感に目の前がちらついた。

 長い時間を経てまたひとつになれた喜びがじわじわとせり上がる。

 こうして再び繋がってからあの夜を振り返ろうとした。

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