離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
「じゃあどうしてそんな質問するの」

 俺だって自分の気持ちに混乱していて、なぜそんな質問をしてしまったのか理解が追いついていない。

 咲良の、チョコレート。

 若女将としての忙しさもあって市販のものを選んだようだが、まったく気にならない。

 その忙しさを縫ってわざわざ俺のために買いに行ってくれたという事実がうれしすぎて、ふた箱のチョコレートを持った手が震える。

 そう、ふた箱あるのだ。今年だけでなく、昨年の分まで用意するなんて、俺の妻はどこまでも夫を喜ばせるのが得意らしい。

「もしかしてチョコ、嫌いだった?」

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