離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 由緒正しい御曹司の彼がなぜ私のような平々凡々な女と結婚したかというと話は長くなる。



***



 日々の激務を耐え、ようやくまとまった貯金を得た私は母を誘ってふたりで京都に向かった。

 以前から母が一度でいいから行ってみたいと言っていた旅館、たちばなの予約が取れたのは奇跡だろう。

 たまたまキャンセルが出たタイミングで連絡を入れたらしく、私と母は念願の旅館に足を運ぶことが叶っていた。

「娘とふたりでご褒美旅行なんて最高! さっちゃんを生んで本当によかった」

 案内された部屋に荷物を下ろしながら母がうれしそうに言う。

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