離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 なんだってできる、なんて言っているが、自分の両親も義両親の手も借りないたったひとりでの子育てはそんなに甘いものではなかったはずだ。

「あんたをここまで立派に育てられた自分を誇りに思うわ。でも、大丈夫? 私にばっかりかまけててちょっと心配してるのよ」

 ベッドに腰を下ろした母が、自分の隣をぽんぽんと手で叩いた。

 母は昔からそうやって私を呼んだ。今も変わらないのだとくすぐったい気持ちになりながら、示された場所に腰を下ろす。

 ときに厳しく、ときに優しく、たくさんの愛情を注いでくれた手が私をそっと引き寄せてなでた。

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