離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 いい意味ではなさそうだが、智秋は笑っている。

 振り返ろうとすると、うなじに軽く口づけられた。

「咲良は俺と一緒にいてどう思ってる?」

「え? うーん……幸せ、かな。シングルマザーでも頑張れるって思ってたけど、やっぱり楓花にはパパがいてほしかった。私も小さいときにお父さんを亡くして寂しかったの」

 答えながら自分はずるい人間だと苦い思いを抱く。

 好きな人とまた結婚できたから幸せなんだとは言えなかったから。

「そっか。ならいいや」

「智秋は?」

「んー?」

「人にはよく聞くくせに、自分は言わないよね。答えてくれないの?」

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