離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 相変わらず整った顔をまじまじ見たのは久し振りだったが、過去に見たときとあまり変わっていない。

 ただ、自分の本心を隠すあの取り繕った笑みがないのは素直にうれしかった。

「前にうさんくさいって思ってごめんね」

「へえ、そんなこと思ってたのか。初めて会ったときから失礼だったもんな。懐かしい」

「そんな人にいきなりプロポーズしたのはあなただよ」

「正直、自分の好みを疑うよ」

 そう言って智秋は私の頬をふにふにとつついた。

「どうして私だったの?」

「君が朝日奈咲良だからじゃないか」

「理由になってないよ」

「俺の中では理由になってるんだ」

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