レイン。新章
黒い夜。

微細なガラスの破片が、きらきら煌めくような、星明かりの下。

石造りの建物の隙間で、兄妹はうずくまっていた。

「お兄ちゃん」

レインは、メルの痩せた小さな体を包み込むようにしてかき抱いた。

「なんだ」

「あたしたち、もう、どれくらいこうしているの?あの村を追われてから」

「分からない。ただ、冬は2度越した」

もうすぐ、3度めの冬が訪れる。

「大丈夫だ、お前はなにも心配することはないんだ。おれが、かならずお前を、幸せにしてやるから……」

レインは、そう言って妹を抱きよせ、彼女の細いうなじに顔をうずめた。
< 8 / 8 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

黒蕀の森で、残酷な幽夢を

総文字数/1,067

ミステリー・サスペンス3ページ

表紙を見る
レイン。序章

総文字数/19,718

恋愛(その他)62ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop