吉良くんの弱愛なところ。
「まじで、危なっかしすぎ」
今日、何度目だろう。
呆れたようなため息をつきながら、吉良くんは言う。
でも、目尻が心配そうに少しだけ下がっていて、不意にキュンとした。
痛くて滲んでいた涙も、いつのまにか引っ込んだ。
「えへへ、吉良くん、ありがと」
彼のハンカチで結ばれた膝を見つめながらお礼を口にする。
上目遣いで見上げれば、「……別に、けが人助けないわけにはいかないから」だって。
「うん、それでも、ありがと!」
「……枢木のためとかじゃ、ないから」
「そっかそっか、優しいね」
「なんで、……ほんと、枢木ってそういうとこある」