吉良くんの弱愛なところ。
有線イヤホンをして、スマホをいじっている吉良くんに、わざと大きめに声をかけたのに当たり前の無反応。
どうせ、イヤホンしてるから聞こえない、とか言うんでしょ?
わたしなんか興味ありませーんって言うんでしょ?
そんなのでわたし、へこたれないよ?
「吉良くん!」
彼の片耳のイヤホンをすっぽり抜いた。
我ながら、吉良くんにこんな馴れ馴れしいことをできる女子はわたしだけだと思う。
関係性としてはまったくみんなと変わらないけれど、ただ、わたしは興味を持った人にはグイグイいく、相手からすればとても迷惑な人種なのだ。