吉良くんの弱愛なところ。



「それは、たぶん……褒めてくれてるんだよね?」



おそるおそる問いかける。

すると、吉良くんはちょっと意地悪な笑みを浮かべて言う。



「さあね」

「え、どっちなの?! 気になるよ、吉良くんっ」


「自分で考えて」

「わからないから言ってるんだよおお……」



もう、これだから掴めない。

吉良くんは表情変化が乏しいくせに、ときどきこうやってみんなに見せない表情をしてくれる。



それがどれだけわたしを嬉しくさせてるのか、ぜんぜんわかってない。

きみはほんとに、ズルいんだよ。



もっと反論したい気持ちはあるけれど、ここはささっと折れてあげる。

だってほんの少し、彼との距離が縮まった気がしたから。






< 47 / 75 >

この作品をシェア

pagetop