吉良くんの弱愛なところ。
どんどん彼の顔が見れなくなる。
いま、吉良くんはどんな表情をしているんだろう。
知りたいけど、そのまえに、はやく受け取ってほしいよ。
吉良くんといると、心が惑わされる。
わたしが振り回しているようで、ぜんぜんちがう。
吉良くんに、たくさん振り回されている。
ほかの男の子とちがう彼の雰囲気は、自分のペースを乱されて。
どうしたらいいのか理屈で考えられなくなる。
「……ん、ありがとう。もらっとく」
それなのに、たまにくれる優しい言葉と声のトーンに一喜一憂するわたしは、もう彼の思うツボなのかもしれないと思った。
わたしの手にあったラッピングされたハンカチは、彼の手に渡る。
壊れ物のように丁寧に触れ、少し目を細めたあと鞄に直した。