吉良くんの弱愛なところ。
わたしの行動を読んだのか、吉良くんはすぐに口元を隠してツンとした。
「あっ、吉良くんズルい!」
「……枢木、ちょっと声大きい」
「吉良くんのばか!」
「まあ、別になんでもいいけど」
「うそだよ! 吉良くんは泣けるくらい、わたしより賢いよ……っ」
「……どっちだよ」
学校の近くのショッピングモールは、恋人同士で歩いている人たちが多かったりする。
もしかしたらわたしたちも、そういうふうに見られているのかもしれない。
それがどうしてか、心を満たして、口元を勝手に緩ませる。
「ねえねえ、吉良くん」
「……すっごい嫌な予感するけど、なに?」
「クレープ食べに行こうか!」
「絶対無理」
そんな言い合いをしながら帰る道が、いつもより何倍も楽しく感じる。
吉良くんもそうだったらいいのにな、と思いながら、彼を見上げて眺める。