吉良くんの弱愛なところ。
吉良くんと酸いもの
吉良くんにハンカチをあげてから約1週間。
ほぼなにも音沙汰なく、時間だけがすぎている毎日を過ごしている。
あれからは、ふたりで彼と話す機会はなかったため、わたしも無理をして近づいてはいない。
最近割と吉良くんと不足だなあ、と思いながらがんばって眺めるだけで留めているのだ。
「おーい、カナ。 さっきからどこ見てんの?」
「んーとね、わたしの未来の王子さま!」
「……おまえは白い壁が未来の王子さまなのかよ」
パコッと丸めた教科書で頭を軽く叩かれ、わたしはぷくりと頰を膨らませる。
……もう、せっかく吉良くんを思う存分眺めていたのに、じゃましないでよね。
わたしの目の前には、となりのクラスの八代葛葉が立っている。
この人の正体はと言うと、わたしの、元カレである。