吉良くんの弱愛なところ。
再度ぱたんとそれを閉じたわたしに、吉良くんは「ほんと、適当」と言いながら、また、自分の席でスマホをいじり出した。
横顔すらもとても美しいので、じーっと見つめる。
近くで見ても肌は、毎晩毎朝荒れないよう気を遣っている女の子のようにすべすべだ。
これで女装なんかしたら女の子だけでなく、男の子からもさらに人気出るなあ、と心の中でひそかに思う。
こんなに綺麗な顔して、それを鼻にかけない。
そんなところも素敵。あまりにもすべてが整いすぎている。
わたしの熱い視線にさすがに耐えきれなくなったのか、スマホを置いて、吉良くんはわたしの瞳をまっすぐに見つめ返した。
「……帰んないの?」
怪訝そうに尋ねてくる彼に、「帰らないよ」と返す。
きみが帰るなら、同じようにするけどね、とそこまでは言わなかったけど。