カクレンボ
「お、雪でてきた。はやくご飯して〜!お腹ペッコペコなんですけど?」
「ごめんごめん。急いで作るから待ってて」
暫く待っていると雪が出てきた。空のクレームに笑いながらキッチンへと早足で向かった。
「もうできるんじゃない?」
カウンターからキッチンを覗き見るとキャベツとチキンが綺麗に盛り付けられていた。
お風呂に入る前、雪がもうすぐできると言っていたのを思い出したのだ。
「うん。だからテーブルの上片付けてくれる?」
「おっけー」
振り返ってテーブルの上を見てみるとさっき食べていたクッキーのお皿がポツリとおいていた。わたしはそれをカウンターに置いた。
「正月にでも、ひまわりと楓誘おうと想ってるんだけどいい?雪」
「いいけど、なんで僕に聞くの?」
「雪がお風呂入ってるときに3人で話してたの」
「そういことね」
雪はそう言うと、両手に大きなお皿を持ってダイニングテーブルのところまで運んできた。
「空全部食わないでね?うちのなくなっちゃうから」
「食えるかこんな量!」
これが、いつもの二人。これはもう曲がることのないこと。硬い鉄棒みたいに、よっぽど大きな力が加わらないと曲がらない。曲がったら当然折れてしまうのだろうけれど。