カクレンボ
『おはよ!ゆきくん。あれ?さくらちゃんと空くんは?』

『今買い物行ってる。さっき出たばっかりだからもうちょっとふたりだよ』

 男女でわかれるっていったら、雪とわたし、桜と空だった。別にわたしが空と仲が悪いわけではない。普通に話す。でもなぜか、必然的にそうなっている。

『はい、じゃあ二人組作って』

 小学校の体育のとき、二人組を作るときも、桜とではなく、雪と組んでた。周りから見たら変わってたかもしれない。異性同士でペアを組むなんて。そりゃ、あんな噂がたってもおかしくないよ。
『ねえねえ、華ちゃんと雪くんって両思いなの?』
 小学生の時友達の女の子によく聞かれた。もちろんわたしは違うと応えたけれど、周りは信じることなんてしなかった。なら聞かなきゃいいのに。と愚痴をこぼしつつも、心の中ではなんとも言えない不思議な感情が描かれていた。
『中学になってもよろしくね』
 小学校の卒業式、ハンカチを濡らす私に雪は、いや、桜と空も言ってくれた。中学生は思春期だから、他の男の子を見る目も変わってくる。男のコの会話も卑猥なものになっていって、雪達がそうならないか心配だった。でも二人は、周りの男の子と違って、いい意味で何も変わらなかった。
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