毎日同じ夢をみる🌙*゚
★蒼空・美月と大和が帰った後


……つらい。

 何度もいなくならないでと説得したけれど、最後には「分かったよ!」って、大和は笑顔で顎を触りながら言った。

 彼は嘘をつく時、自分の顎を指先でそっと触れる。

“ 探したい人 ”

すぐに誰か分かった。
これからどうするのかも予想はついた。


 大和は美月のことを愛している。

 だから俺は、大和にどうしても言えないことが、ひとつだけあった。

 最近、美月の事ばかりを考えてしまうこと……。

 大人になった美月を一目見た時から、一気に心が惹かれていってしまっていることに。

 そのことを伝えてしまえば、自分の幸せを犠牲にして大和は身を引く。だから伝えてはいけない。バレてはいけない。そう思っていた。

 でもきっと彼は分かっていたんだと思う。

「美月を守って……必ず」

 帰り際、美月が先に車に乗って、ふたりで貸す本をまとめている時、大和は言った。


 次の日の夕方、大和の電話は繋がらず、美月に電話をかけてみた。
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