柳の木の下で貴方が言葉を拾ってくれた



「蓮二。私、そろそろ」



これ以上、騒がれたくはない。



「あぁ、そうだな」



蓮二はそう言って私の唇を奪う。その光景にツキ女の生徒は驚きを隠せない。蓮二は唇を離すとニヤリと笑って「またな」そう言って車に乗り行ってしまった。

蓮二のした行動は、この学校の生徒達に見せつけるためにやったと言わんばかり。一人とり残された私は何食わぬ顔で教室に入ると、既にそこには七絃がいた。私に気づいた七絃は私の元に駆け寄って来る前に、クラスメイト3人が先に私の前に現れる。



「ちょっと、どういうことなの?」


質問の内容は昨日と今日のことだろう。


「何のこと?」

「とぼけんじゃねーよ!!」

「昨日は風翼の幹部と一緒にいて、今日は白骸の総長と一緒かよ!」

「体使って誑かしてんだろ?サイッテーだな。あの人達に近づくんじゃねーよ!!」



近づくなと言われても蓮二は無理だ。風翼は関わりたくなかった人達だから、今後近づくことも関わることはないけど、蓮二とはその関係を断ち切れない。


「蓮二は私の彼氏だから、」


車内で蓮二に言われたことをそのまま言う。私達は付き合っている関係であることを。



「は?何言ってんの?あんたは遊びだよ!」

「アハハッ。あの人が彼女なんて作る人じゃないよ。それに、」


私は胸ぐらを掴まれる。


「二度と荒川さんのこと呼び捨てにするんじゃねー」


そう言って掴まれていた胸ぐらを強引に離され、私は壁に背中を打ち付けた。クラスメイト3人組は私を鼻で笑うと自分の席へと戻って行った。


七絃は私のことを心配してか駆け寄ろうとしたところ、タイミングよく教室のドアが開き担任が現れる。私も七絃も自分の席に着いた。


HRが終わるとすぐに教室を離れる。


七絃にちゃんとした説明が出来ないから、私は逃げた。


でも、七絃は私を逃してくれない。



「待ってよ、怜!」


私は足を止めてしまった。
七絃は私に近寄る。


「なんで、避けようとするの?私達友達でしょ?」




友達だから、これ以上私に近づいて欲しくないんだよ…。


< 23 / 39 >

この作品をシェア

pagetop