柳の木の下で貴方が言葉を拾ってくれた
「七絃、お願い。私に近づかないで」
「え?ちょっと、意味わからないんだけど?」
「…お願い」
おそらく蓮二は七絃のことを酷い目に合わせる。私に友達なんてものは必要のないものだと言わんばかりに。
俺を裏切るようなことをすれば、って言っていたが気に食わないとこがあればどんな些細な行動でさえ、七絃を傷つける理由とする。
だったら、最初から友達を無くせば、私が自分から失えば誰も傷つかなくて済む。だから、七絃、ごめんなさい……。
「ねぇ、そんなお願い私が聞くと思ってんの?」
「え?」
「友達ってそんな軽いもんじゃないの!私は怜の力になりたいの。嬉しい時に一緒に笑って悲しい時に一緒に泣きたいの。だから、怜、溜め込む必要ないんだよ?」
こんな風に優しい言葉をかけられたのは何時ぶりだろう。自然に涙が零れた。
泣いてはいけないと思っていたのに、どんなに辛くても泣いちゃいけないと。
私はすぐに涙を押し込めた。状況は何も変わらないし、七絃に蓮二のことも私のことも話す訳にはいかないから。
私は涙を拭き取り七絃を見る。
「ありがとう。その気持ちだけで十分だよ」
「怜、」
「私は大丈夫。七絃には感謝してる。友達と思うからこそ、傷つけたくないの。今はまだ話すことが出来ないの、だから、」
「それでも、そばに居る。私がいたいの!」
七絃の言葉にダメだとは言えなかった。その言葉がすごく嬉しかったから。だから、弱い私は「ありがとう」と言葉にしたものの、心の中でごめんなさいと謝ることしか出来なかった。