柳の木の下で貴方が言葉を拾ってくれた
終業のチャイムがなり下校時間になると私は蓮二に終わったとメールを入れた。蓮二からメールは来なかったが、校門の前にメールの返信だと言うように車が停められ蓮二が現れる。
私は教室で七絃と別れ、足早に蓮二の元に向かう。蓮二は私の腕を引っ張り「行くぞ」と車の中に強引に押し込まれ、運転手に出せと命令する。
車の向かっている方向は私の家ではない。
「どこに向かっているんですか?」
「俺達のアジト」
蓮二達、つまり白骸のアジト。
あそこに行くのは何時ぶりだろう。半年は経っていると思う。
私はただぼーっと外を眺め、目的地に着くのを待った。10分程車に揺られ着いたアジトは風翼と同じくらい大きい。
そして、蓮二に気づく人達は頭を下げている。風翼と全く一緒だ。これまた階段を上がるとひとつのドアがあり、蓮二が開けると2人がソファーに座っていた。
「蓮二と、もしかして怜か?」
「怜?…久しぶりだな」
「お久しぶりです」
半年の間に少し髪の毛の色が変わっていたけど、顔立ちは変わることなくすぐに誰かすぐに分かった。
「すっかり美人になったな」
茶髪の髪にピアスが5個以上もついていて、如何にも不良ですと言わんばかりの椎名《シイナ》海《カイ》さん。
「半年ぶりか」
髪の色が鮮明な赤で、ゴールドのネックレスをしている立花《タチバナ》那智《ナチ》さん。
海さんが高校3年生で那智さんが蓮二と同じ高校2年生。2人とも烏間高校の生徒。
「海、那智。怜が風翼に目をつけられた」
この言葉に和やかな空気が一変して緊迫する。
「それは怜の事情知っててか?」
2人は私の事情を全て把握している。こうして蓮二といること、私の過去のこと。
「奴等は知らないだろうな」
「怜を連れてきた理由は、発表するためか?」
「あぁ、そうするつもりだ。これで、奴等も無闇に手は出せない」
何故、そこまで敵対しているのか私には知る由もない。