柳の木の下で貴方が言葉を拾ってくれた



中に入ると特に何かをすることなく、私は那智さんと海さんと会話をする。


「もう、半年経つのか」

「早いな」

「2人ともお変わりないようで良かったです」

「いやいや、変わってるだろ」


普通に話して普通に笑い合えることに喜びを感じる。
そんな中、ふと圭哉くんの言葉を思い出した。




"白骸と抗争をする。"



暴走族に入っているということは喧嘩が出来るということ。正直、喧嘩をして欲しくない。

どうして敵対してしまったのか知る由はないけど、仲良く出来ないのかと考えてしまう。




「怜?どうかした?」

「あ、別に何もないです」

「変わらねーな。ボーッとする癖」


アハハッと笑って誤魔化した。


私が深入りすることではないから。私達が話している中、蓮二はただ私達の様子を見ていたり、スマホを弄っていたりして会話に入ってくることがない。


私がチラチラ蓮二のことを見ていることを、蓮二も2人も分かっていたようだ。

たまに海さんが蓮二も会話に入れよと言うも、蓮二は「俺はいい」と言われてしまった。



すると、那智さんが立ち上がる。



「蓮二、怜を連れて行くけどいいよな」

「好きにしろ」

「じゃあ、怜、行こうか」


私が居づらいと思ったのか、那智さんが場所を移動させてくれて、海さんはニコッと笑って手を取ってくれた。

私の気持ちを察してくれた2人に感謝しかない。


ドアを出てすぐに海さんに謝られる。



「悪いな、蓮二が素っ気なくて」

「いえ、お気になさらないでください。邪魔なのは私の方ですから」

「んなことねーよ。ちょっと今はピリピリしてるだけだ」



私達は移動しながら話す。



「あの、1つお聞きしてもいいですか?」

「なになに?俺に惚れた?」

「海、茶化すな」


アハハと軽く笑って見せ話を続ける。

< 27 / 39 >

この作品をシェア

pagetop