柳の木の下で貴方が言葉を拾ってくれた
中に入ると特に何かをすることなく、私は那智さんと海さんと会話をする。
「もう、半年経つのか」
「早いな」
「2人ともお変わりないようで良かったです」
「いやいや、変わってるだろ」
普通に話して普通に笑い合えることに喜びを感じる。
そんな中、ふと圭哉くんの言葉を思い出した。
"白骸と抗争をする。"
暴走族に入っているということは喧嘩が出来るということ。正直、喧嘩をして欲しくない。
どうして敵対してしまったのか知る由はないけど、仲良く出来ないのかと考えてしまう。
「怜?どうかした?」
「あ、別に何もないです」
「変わらねーな。ボーッとする癖」
アハハッと笑って誤魔化した。
私が深入りすることではないから。私達が話している中、蓮二はただ私達の様子を見ていたり、スマホを弄っていたりして会話に入ってくることがない。
私がチラチラ蓮二のことを見ていることを、蓮二も2人も分かっていたようだ。
たまに海さんが蓮二も会話に入れよと言うも、蓮二は「俺はいい」と言われてしまった。
すると、那智さんが立ち上がる。
「蓮二、怜を連れて行くけどいいよな」
「好きにしろ」
「じゃあ、怜、行こうか」
私が居づらいと思ったのか、那智さんが場所を移動させてくれて、海さんはニコッと笑って手を取ってくれた。
私の気持ちを察してくれた2人に感謝しかない。
ドアを出てすぐに海さんに謝られる。
「悪いな、蓮二が素っ気なくて」
「いえ、お気になさらないでください。邪魔なのは私の方ですから」
「んなことねーよ。ちょっと今はピリピリしてるだけだ」
私達は移動しながら話す。
「あの、1つお聞きしてもいいですか?」
「なになに?俺に惚れた?」
「海、茶化すな」
アハハと軽く笑って見せ話を続ける。