柳の木の下で貴方が言葉を拾ってくれた
私は家に帰る前にある場所に来た。
1人になりたかったら必ず来ていた場所。
月咲女学園の近くにある河原。
そこには大きな柳の木がある。小さな頃からこの木を見ていた。
何かがある度にこの木に背を預け、座っていた。今でも何かある度にこの木の傍で座り蹲る。
そして、今日も…。
帰らないといけないと分かっていながらも、今は1人になりたかった。1人になることでいろんな感情が湧き上がる。
七絃に対しての罪悪感、何も出来ない自分自身へと悔しさ。 私はこれから、どうするべきなのだろうかと。
涙が出そうになるのを必死で堪えていた。
どれくらい蹲っていたかは分からない。
そろそろ帰らないといけないと怒られてしまうと思った時に、声をかけられた。
「そこのおじょーちゃん。どうしたの?」
笑顔で話しかけてきた制服を着た高校生の男2人。その笑顔は不気味に思えた。
男2人は私の顔を見ると少し驚きを見せた後、先程の笑顔に戻る。
「おい、この女荒川の女じゃね?」
「マジか!?女使ってアイツ潰せるな」
物騒なことを考えていると察した反面、私が蓮二の女であるということが、どういう意味なのかを思い知らされる。
「水無怜だっけ?俺達と一緒に来てもらうぞ」
「ちょっと、離してください!」
無理矢理に腕を掴まれて立ち上がらされる。
「抵抗すんじゃねーよ!」
怒鳴られた声に、男の厳つく怒った表情が怖くて何も言えなくなった。