首取り様1
『で? 地蔵に来たらどうなるんだ?』


不意に慎也が我に返るようなことを言った。


『え?』


佳奈は思わず聞き返す。


『ほら、肝試しって言えば怖い場所に行ったら祟られるとか、そういうやつじゃないのか?』


慎也はちっとも怖くないのか、さっきから地蔵の首をペチペチと叩いている。


『そういう噂は聞いたことがないよ』


明宏の説明に慎也は途端につまらなさそうな表情になった。


『なんだよ、特になにもないのか』


『慎也は祟られたかったの?』


佳奈が聞くと慎也はファイティングポーズを取り『幽霊と対決してみたかったんだよ』と、真剣な表情で言った。


それからじばらく地蔵の周りにいたけれど、特におかしな現象が起きることもなく、6人はそのまま帰ってしまったのだった。
< 100 / 182 >

この作品をシェア

pagetop