首取り様1
☆☆☆

そして、今。


まさに祟とも言える不可解な出来事に巻き込まれている6人だ。


「地蔵と言えば、それくらいだよね」


夏休み前のことを思い出して佳奈がつぶやく。


「そうだな。結局肝試しのことを持ち出したのが誰かわからないままだしなぁ」
慎也が頷く。


あれは今になっても不思議な経験だと思う。


肝試しをしようと決めた日だって、6人全員の予定が偶然空いていたのだ。


そんなこと今まで1度だってなかった。


それぞれ恋人同士だから、自然と休みの日はそれぞれに予定が入っているものだった。


まるでずっと前から肝試しを計画されていたようで、得体の知れない気味の悪さを感じる。


「あの時、地蔵の首を叩いたりしたからじゃないか?」


明宏が慎也を睨んで言った。


確かに、あの行いはどうだったのかと思っていた。


「なんだよ。今さらそんなこと言われても」


慎也はバツが悪そうに明宏から視線をそらした。


「でも、あの場所を知っていたのは明宏だったよな」
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