首取り様1
ギラリ。


そういうのが正しい光。


途端に佳奈は春香と明宏が首を切られたときの断面を思い出した。


同時にこれから自分もそうなるのだと確信する。


この部屋は何度も夢に出てきたあの部屋で間違いがなかった。


人影が佳奈の横へ移動してきた。


黒く、首のない影が佳奈を見下ろしている。


その手には鉈が握りしめられていた。


ギラギラといやらしく光る鉈に目を奪われる。


殺される。


私はこれから、あの鉈で首を切られる!


わかっているのに動くことはできなかった。


眼球だけを忙しなく動かし続けて、今では真っ赤に充血している。


それでも動きを止めることができなかった。


部屋の中を少しでも観察し、影の動きを少しでも覚えておこうと必死だった。


やがて鉈が佳奈の頭上に振り上げられた。
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