首取り様1
自分ができることは考えることじゃなくて、行動することだ。


そう思い直して慎也は歩道へ視線を落とした。


昼間も見た足跡が今もまだ点々と続いている。


しかしそれは方向が違っていたのだ。


ハッと息を飲んで足跡を追いかける。


転々とシミのようにアルファルとについているそれは、やはり途中で途切れていた。


「くそっ。最後までは絶対に教えないつもりなんだな」


足跡が途切れた場所で立ち止まり、舌打ちをする。


慎也が立ち止まったのは三叉路の前で、どっちへ向かえばいいかわからない。


こんなときに仲間と行動していればよかったと、今さらながらに後悔した。


今から他の4人に連絡をして合流しようか。


この世界でスマホは使えるだろうか。


ジーンズのポケットに手を突っ込んだときだった。


三叉路の右手から気配を感じてすぐにバッドを握り直した。


闇の中に見える闇よりも深い色をした黒い化け物がいる。


ユラユラと左右に揺れておぼつかない足取りでこちらへ向かって歩いてくる。


慎也はバッドを構えて腰を落とした。
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