首取り様1
来るならきやがれ!


グッと奥歯を噛み締めた瞬間、ユラユラ揺れていた黒い化け物が目の前にいた。


それはほんの一瞬の出来事だった。


まばたきをしている間に黒い化け物は、1メートル手前まで距離を詰めてきたのだ。


「クッ!」


突然の至近距離に一瞬ひるんだ。


その間に黒い化け物は刃物になった手を振り上げる。


間に合うか……!?


慎也はバッドを振りかぶる。


一瞬早く化け物の腕が慎也の首元へ移動した。


やられる!


サッと血の気が引いていく。


自分が死んだときの映像が脳裏に流れていく。


すべての覚悟を決めた時、バッドが黒い化け物の顔面を殴打した。


でもダメだ。
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