首取り様1
俺の首は切られた……。


慎也に絶望が這い上がってきたとき、黒い化け物のほうが先に横倒しに倒れた。


黒い化け物の手はなにもない空間を切り裂いて風音を立てた。


ドッと倒れ込んだ化け物の後ろには、バッドを握りしめた大輔が立っていたのだ。


慎也が攻撃するより先に、後ろから黒い化け物の頭部を殴りつけていたのだ。


慎也の首を切り裂きそうになった黒い化け物だが、その前にすでに勝負は決まっていたのだ。


「気持ちはわかるが、1人で突っ走るなよ」


大輔が苛立った声を上げる。


目が覚めてから何度慎也に連絡しても返事がなくて、ファミレスで会議をする暇もなくここまで走ってきてくれたのだ。


大輔の後から明宏と春香の美樹もやってきた。


それぞれにバッドや小ぶりなナイフを握りしめている。


「よくここがわかったな」


「慎也のことだから、地蔵へ行くだろうなって思ったんだ。後は足跡を追いかけてきた」


明宏が息を切らしながら説明する。
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