首取り様1
さすが、明宏だ。


単純な慎也の行動なんてすべてお見通しだった。


「サンキューな」


慎也は大輔と明宏へ向けて言った。


2人がいなければ今ごろ自分の首はなくなっていただろう。


地面に伸びている黒い化け物をそのままに、慎也は三叉路に向き直った。


「ここで足跡は途切れてる。どっちにけばいいかわからないんだ」


「それなら手分けをして探そうよ」


そう言ってくれたのは美樹だった。


小ぶりなナイフを持つては小刻みに震えていて、顔色は悪い。


けれどなにかしなければと考えて持ってきたのだろう。


「俺は1人で行く。春香と大輔は真っ直ぐ。美樹と明宏は左手を探してほしい」


慎也が言うと4人は同時に頷いた。


「黒い化け物は取った首を守るためにいるんだと思う。ここから先は出現率も高くなる」


明宏が冷静な声で言った。


「そうか。本当に1人で大丈夫か?」


大輔が慎也を心配している。


ついさっき殺されそうになったばかりなのに、慎也は大げさなほどに頷いてみせた。
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