首取り様1
だけどどれだけ記憶をたどってみても、そんな化け物今まで1度も見たことはなかった。


「我々っていうのはもしかして、あの地蔵のことなのかもしれない」


しばらく考えていた明宏が顔を上げて言った。


「地蔵?」


慎也が眉間にシワを寄せて聞き返す。


「ほら、ネットの記事を見ただろう? あの首無し地蔵はホラースポットとして知られている。それなのに、地蔵はなかったと発言している人が多い。だけど僕らはたしかに地蔵を見たよな?


 それに佳奈が夢で聞いた言葉を当てはめて考えると、あの地蔵は選ばれた人間にしか見ることができないものだった。そして、僕らは選ばれた。そういうことになると思うんだ」


憶測でしかなかったが、たしかにそのとおりだった。


ネット記事をもう1度確認してみても、やはり地蔵はなかったと言っている人が多数いることがわかる。


「じゃあ、夢の中に出てくる首なしの影はあの地蔵たちってこと?」


美樹の質問に明宏は頷く。


「おそらく、その可能性が高いと思う」
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