首取り様1
「でも、どうして私達にはあの地蔵が見えたんだろう?」


質問する春香に、明宏は困ったように首をかしげた。


「今の段階ではまだそこまではわからない。けど、肝試しをしたときから何かがおかしかったことは確実なんだと思う」


夏休みに入る前から私達はこの試練を背負うことが決まっていたのかも知れない。


そう思うとなあんだか悔しくて、佳奈は下唇を噛み締めた。


何者わからない力が加わり、私達は今大変な思いをしているんだ。


「そう言えば、地蔵の近所の人の反応もおかしかったよね。人が良さそうだったのに、地蔵の話をした瞬間逃げ出した」


佳奈は思い出したように言う。


あの反応は誰がどう見てもおかしかった。


「うん。もしかしたらあの人は地蔵が見えない人なのかもしれない。それなのに地蔵が見えるという僕たちが現れて、あんな態度になったんだと思う」


明宏はほぼ確信している様子で頷いた。


「よし、じゃあまた地蔵に行ってみるか」


考えるよりも行動する派の慎也がさっそく席を立つ。


「ここでグダグダ考えてても、ラチがあかないからな」


大輔も立ち上がり、佳奈たち6人は再び地蔵へと向かったのだった。
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