首取り様1
起きる
ハッと大きく息を吸い込んで目を開けた。


窓から差し込む朝日と、見慣れた自分の部屋に戸惑う。


上半身を起こして見ると、心臓がバクバクと早鐘を打っていることがわかった。


「夢?」


佳奈は呟き、額に滲んだ汗を拭う。


電気をつけて部屋の中を見回してみるけれど、かわったところはなにもない。


やっぱりあれは全部夢だったんだろうか?


黒い人物が出てきたところも、みんなで春香の首を探したところも、夢?


「二重の夢。しかも、あんなひどい……」


夢の内容を思い出しただけで気分が悪くなり、ベッドの端に座り込んでしまう。


春香の首の断面の様子までしっかりと覚えている。


それに、黒い化け物に襲われたときのことだって。


大輔と2人で細い路地へ逃げ込んだとき、手を擦りむいたことを思い出す。


佳奈は咄嗟に擦りむいた方の右手を確認した。


手のひらが微かに赤くなっていて、皮がむけている。
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