首取り様1
部屋の中に入った佳奈は中央の布団へと近づいていった。


眠っている人は頭まで布団をかぶっているようで、顔が見えない。


それなのに咄嗟に「春香?」と、声をかけていた。


声をかけると同時に理解した。


この布団で眠っているのは友人の春香であると。


そう理解すると同時に恐怖心は半減した。


よく知っている春香がそこに眠っているのなら、何も怖いことはない。


こんな薄気味悪い場所によく眠っていられるなぁ。


関心しながら更に布団に近づいた。


右足が布団のヘリを踏む。


途端にジワリと足先に冷たい水のようなものが絡みついてきた。


咄嗟に足を上げて確認した。


窓の方へ足を向けて月明かりで照らしてみると、足裏が真っ赤に染まっているのがわかった。
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