首取り様1
「え?」


今自分が踏んづけた物が真っ赤な液体であると理解するまで少し時間がかかった。


だって、布団が吸い込んでしまうほど真っ赤な液体がこぼれている中で、春香は眠っていることになるのだから。


起こしたほうがいいのかな?


再び気味の悪さが舞い戻ってきた佳奈は、今度は布団の縁を踏まないように注意しながら手を伸ばした。


「春香?」


声をかけながらうわぶとんを掴む。


春香から返事はないが、勢いにまかせて布団を剥ぎ取った。


瞬間……!


首のない春香の体が現れたのだ。


白い半袖のパジャマは上半身だけ真っ赤な血に濡れて、首から先が消えている。


首だけパコッと外されてしまったかのように、キレイな断面からは骨が覗いている。


「!!!」


佳奈は悲鳴にならない悲鳴を上げて飛び退った。
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