首取り様1
と、その時だ。


さっきまで誰もいなかった部屋の中に気配を感じた。


そちらへ顔を向けるといつの間にか背の高い、5人の人が立っていた。


足音も気配もなんも感じなかったのに。


5人は月明かりに照らされても指の先まで真っ黒で、その姿を見ることができない。


その上、その5人には頭部らしきものがなかった。


呆然としてその5人の影を見つめていると、不意に声が響いてきた。


「朝までに首を見つけろ、できなければ地蔵の首になる」


5人の声で間違いない。


それなのに口を開けている様子はなく、声も部屋中にこだましている。


「朝までに首を見つけろ、できなければ地蔵の首になる」


「朝までに首を見つけろ、できなければ地蔵の首になる」


ぐわんぐわんと脳を揺るがすような声に、佳奈は両耳を塞いだ。


それでも声は脳内に直接聞こえてくる。


「朝までに首を見つけろ、できなければ地蔵の首になる」


「わかった、わかったから、もうやめて!!」
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