首取り様1
5人はそれぞれ目を見交わせた。


互いの意思を確認するように頷きあう。


このまま明宏の頭部を見つけることができなければ、自分たちに朝はこない。


永遠にこの夜に閉じ込められることになるかもしれない。


実際はどうなるのか検討もつかないが、そう思い込むことで動くことができた。


林の中は腐葉土のせいで足元が悪く、なかなか前に進むことができなかった。


木々の間から差し込む月明かりは弱々しくて、それぞれがスマホの明かりを灯してどうにか歩くことができていた。


「本当に、こんなところあるのかな」


佳奈は思わず呟いた。


昨日はあれほどわかりやすい場所にあったのに、今日は本当に隠されている感じがする。


これはただの偶然だろうか?


それとも、頭部の隠し場所にもちゃんとした理由があるんだろうか?


考え事をしながら歩いていると、佳奈のスマホの明かりが不自然な岩を照らし出した。


それは普通の岩にしてはツルリと丸く、苔むしているのか海苔のように真っ黒だ。


その苔はスマホの光によってツヤツヤと輝いて見えた。
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