首取り様1
叫んだ拍子に壁に背中をぶつけたかと思うと、目が覚めた。


「キャア!」


短く悲鳴を上げて飛び起きた時、佳奈はベッドから床に落下してしまっていた。


背中がズキズキと痛み、呼吸は派手に乱れている。


「夢……?」


月明かりで浮かびだされるのは見慣れた自分の部屋だ。


佳奈はホッと息を吐き出して額に流れる汗を手の甲でぬぐった。


次にすべてが夢だったことに安堵し、そして自分の寝相の悪さに呆れてしまった。


ベッドから落下するほど寝相が悪かったのかと思いながら、ベッドの上に這い上がる。


それにしても嫌な夢。


友人の首がなくなる夢。


布団からにじみ出てきた血の感触はやけにリアルで、思わず足の裏を確認してしまった。


もちろん血がついていることはなくて、ホッと胸をなでおろす。


すべては悪い夢だったんだ。


布団に戻って時間を確認しようとスマホを手に取ったとき、手の中でスマホが震えた。


時刻は夜中の1時だ。
< 9 / 182 >

この作品をシェア

pagetop