首取り様1
『マジかよ』


さすがの大輔も地蔵が放つ異様な雰囲気に顔をしかめている。


近づけば近づくほど気分が悪くなっていくようだった。


『どうして首がないんだろう』


春香が自分の体を抱きしめてつぶやく。


地蔵の首は誰かに取られてしまったという様子ではなく、最初から作られていない様子だった。


首の断面はつるりとしていて、石はちゃんと磨かれている。


しっかりと管理する人がいないのか、地蔵にはあちことに苔が生えている。


それは昼間見てもきっと異様な光景だっただろう。


こうして屋根の下に祀られているのに関わらず、ここまでひどい有様の地蔵を見たことがなかった。
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