首取り様2
その事件はほんの数ヶ月前にどこかの小学校で起こったことだ。


算数の授業中に火薬で遊んでいたところ、それが爆発して大怪我を負った生徒がいる。


生徒は机の上で花火の火薬を取り出し、それを小さなエンピツキャップの中に詰め込んで遊んでいたのだ。


当然、爆発するなんて考えてもいなかったようだ。


「だから、筒状のものと火薬があれば、ちょっとしたものなら作ることができる。

でも、素人がやろうとしたらそれなりのリスクが伴うけどね」


「小学生でもできるくらいの作業だもんね。だけど作業の途中で爆発したら……」


佳奈はそこで言葉を切った。


事件になった小学生は、指を何本か失っている。


「黒い化け物に襲われたわけでもないのに死ぬのは馬鹿らしいな」


大輔は大げさにため息を吐き出し、爆竹とテーブルの上に置いた。


今の状況でこれ以上のリスクを背負うのは危険だと判断したみたいだ。


大輔はすでに大きな怪我を抱えているし、明宏がダイナマイトを作成したとして、失敗して怪我をすれば男子が全滅してしまうことになる。

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