首取り様2
4人はほぼ無言のまま頂上まで登りきった。


登ってすぐに赤い鳥居があるのだけれど、それはペンキが剥げ落ちてくすんだ色になっていた。


して境内へと伸びる石畳。


こちらはひび割れてひっくり返り、歩く度にこけそうになってしまう。


敷かれていた砂利の隙間からは草が伸び放題で、虫が飛び交っている。


荒れ果てた寺に唖然としてしまいそうになありながら、足を進ませる。


建物は更にひどかった。


誰も管理していないようで蜘蛛の巣が張られ、木造の階段は登れば崩れ落ちてしまいそうだ。


「もうやってないんだ……」


佳奈は呟いて周囲を見回した。


あの頃、祭ばやしで賑わっていた当時の面影はどこにもない。


屋台でお面を買ってもらったり、祖母におんぶしてもらって獅子舞に触れたことを思い出す。
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