首取り様2
☆☆☆

5体の首無し地蔵はとっくに撤去されていた。


それなら通行人たちに地蔵が見えるはずもない。


自分たちは選ばれた人間だから、地蔵がまだあそこにあるように見えているのだ。


もう少し三福寺について調べてみたかったが、肝心のお主人や身内の人が誰もいないのであれば難しい話しだった。


ご近所さんから聞き出すには限度があり、ふさぎがちだった奥さんはご主人の死後後を追うように亡くなってしまったということまでしかわからなかった。


三福寺は天涯孤独の寺になったのだ。


話を終えて帰宅すると外はオレンジ色にそまっていた。


もう少しで今日の夢が始まると思うと佳奈は泣きそうになってしまった。


今日もまた誰かの首が取られる。


慎也も美樹も首を探し出すことができなくて、体だけになってしまった。


今度もまた同じような結果になったら……。


最悪な事態ばかりが想定されて頭の中を支配していく。


首無し地蔵に首がつく度に黒い化け物の数が増える。


そうなれば、今夜は昨日よりもキツイことになる。
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