首取り様2
高級住宅街は庭の中も手入れが行き届いていて、探す場所がほとんどなかった。


けれどここは崩れかけた家が木々に覆われていて、森と同じような状態になっている。


その分難易度は高くなる。


「どうする、どこから調べる?」


大輔が振り向いて2人へ向けてそう言ったときだった。


2人の後方に黒い化け物が迫ってきているのが見えた。


大きく目を見開く大輔を見て佳奈は咄嗟に隣の空き地へと自分の身を投げていた。


少し反応が遅れた明宏の体をおしやり、大輔が前へ出る。


「邪魔すんじゃねぇよ!!」


怒号を上げながらスコップを振り上げて化け物へ攻撃を繰り出す。


それは化け物が刃物になった手を振り下ろすのとほぼ同時で、スコップとぶつかり合い強い衝撃が大輔の体に走った。


衝撃に耐えるために両足に力を込めた瞬間、ビリビリとした痛みが傷ついた足に駆け抜けた。
< 131 / 194 >

この作品をシェア

pagetop