首取り様2
くそっ!


完全に傷が開いた。


咄嗟にそう理解したが今は動くこともでない。


「これでもくらえ!」


明宏がナイフを化け物の横腹に突き刺した。


化け物の力が途端に弱まり、大輔はどうにか化け物を押し返すことができた。


しかし足から生暖かい血液が流れていく感触がする。


立っているだけで脂汗が吹き出してくるような激しい痛みだ。


「明宏、あとはまかせた」


大輔はそう言うと佳奈の逃げ込んだ空き地へと向かった。


足を引きずりながら空き地に入ってきた大輔を見て、佳奈は慌てて駆け寄った。


「大輔、血が!!」


足首からポタポタと流れ出す血に青ざめる。


肩をかして塀にもたれさせるようにして座らせた。


「傷口を見せて」


佳奈に言われて大輔は素直にズボンのスソを上げた。


パックリと開いた傷口に佳奈が息を飲む。
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