首取り様2
こんな状態じゃ化け物と戦う以前に歩くことだって困難だ。


佳奈は自分のTしゃつに手をかけると下半分を力づくで引きちぎった。


「さすが、鍛えてるだけはあるな」


大輔がそんな佳奈を見て笑った。


「大輔や慎也ほどじゃないよ」


少しムッとして返事をしてから、切り裂いた生地を包帯代わりに大輔の足に巻きつけていく。


「これで少しはマシになるといいんだけれど」


ちゃんと止血される保証はどこにもなかった。


本当は今すぐにでも病院へ行ったほうがいいのに、それもできない。


こんなことに巻き込んでしまった責任は自分にあるのだと思うと、悔しくて言葉もでなかった。


「佳奈のせいじゃない」


佳奈の表情でなにかを察したかのように大輔が言った。


「お守りを持っている人間ならきっと誰でもよかったんだ。佳奈でなきゃいけないのなら、きっとずっと前に巻き込まれてる」

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