首取り様2
絶体絶命だ……。


佳奈の背中に大粒の汗が流れ出す。


空き地で怯んでいた化け物までこちらへ近づいてくるのが見えた。


完全に挟まれてしまった。


本当は一瞬で移動できる化け物たちも、佳奈たちの負けを確信しているだめかジリジリとにじり寄ってくる。


「性格のわりぃ化け物たちだな! なぶり殺しにするつもりかよ」


大輔が叫ぶ。


化け物たちにその言葉が通じているのかどうかはわからなかった。


今逃げ込むことのできる場所と言えば、空き地の横にある空き家の庭くらいなものだった。


この庭に逃げ込んで裏手に回ったとき、勝手口が裏道へ続いていれば逃げ切ることができるかもしれない。


佳奈はゴクリとツバを飲み込んで木でできた背の高い塀を見上げた。


少なくても化け物から逃げながらこの塀を登ることは難しそうだ。


一か八か、やってみるしかないかもしれない。
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