首取り様2
「春香」


佳奈は春香に視線で合図を送った。


春香が空き家へ入るための門が開いていることを確認し、頷く。


「大輔、門が開いてる」


「あぁ?」


一瞬なんのことだかわかっていなかった大輔だけれど、すぐに空き家へ逃げ込むことができることを理解した。


「わかった」


視線を化け物へ向けたまま頷く。


自分たちが動けばきっと化け物も距離を縮めてくるだろう。


そして裏口から逃げ出すことができなければ、終わり。


「行こう!」


佳奈が叫ぶように合図を出した瞬間、全員が門へ向けて駆け出していた。


化け物たちがそれに反応して距離を詰める。


振り返らずに家の裏手へと回ったとき、そこにも高い塀がそびえ立っているのが見えた。


木の塀に扉らしきものはついていない。


そんな……!
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