首取り様2
足元を見るとヒザくらいの高さの石が置かれている事に気がついた。


「石碑?」


明宏が汗でずれてくるメガネを掛け直し、ヒザをついて確認している。


このくらいの高さだとちょうど木々に埋もれて見えなくなってしまう。


石にはなにかが掘られているようだけれど、長年の風雨で埋もれてしまっている。


明宏は土埃で埋もれてしまっている部分を木の枝で掘りかえしながら読み進めた。


「これは、三福寺の地蔵について書かれているんだと思う」


あの首無し地蔵のことで間違いなさそうだ。


佳奈はゴクリとツバを飲み込んで明宏の次の言葉を待った。


「この土地は、あの地蔵のうちの1人が暮らしていた場所だって書いてある」


「ここに暮らしてたの!?」


佳奈は驚いて声をあげた。


明宏は佳奈には返事をしなかったが、内心同じくらい驚いているみたいだ。


「ってことは、これまで探した場所も地蔵が生きていた頃暮らしていた場所だったってことか」


大輔の言葉に明宏が「おそらくは」と、頷いた。
< 186 / 194 >

この作品をシェア

pagetop