首取り様2
本当のことなんて言えるはずがないから、適当な言い訳を作らないといけない。


「明宏、なにかいい案はないかな?」


春香に聞かれて明宏は「病院での言い訳か? そうだな。適当に通り魔に襲われたとかでいいと思う。警察に説明することになっても、仕方ない」と、思案顔で言った。


絶対に捕まることのない通り魔事件だ。


それから春香は大輔と共に病院へ向かった。


「今日も首を探すことになったら、大輔は行けないな」


明宏は左右に首を振りながらつぶやく。


できれた体力に自身があって、喧嘩になれている大輔が一緒にいてくれた方が心強い。


だけど、怪我をしている大輔を無理やりつれていくわけにはいかない。


下手をすれば今度こそ黒い化け物に殺されてしまうかも知れない。


「それより、慎也のことだよ」


椅子に座ってジッとテーブルを見つめていた美樹が震える声で言った。


慎也という名前に佳奈がビクリと反応する。


「あぁ、そうだな……」


忘れていたわけではない。
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